開田高原そばと「からし豆腐」
飛騨のかっぺたん
「からし豆腐」
つーんと鼻に突き抜ける辛さが、酒のつまみにぴったり。
でも、岐阜以東の人たちにはなじみ薄いというか、知られていないらしい。
からし豆腐は、汁椀(わん)から出てきたような大きさでまんじゅうのような丸みを帯びています。
中心に小さじ半分ほどのからしが入り、刻みのりを振って冷ややっこのように味わうもの。
どのくらい食べられているのでしょう。
某コープ(スーパー)によると、店頭に並べれば1日に20から30個、多くて50個は売れるということです。
食卓にもなじみの深い存在。
ヒントが見つかった。
岐阜市本町の老舗豆腐店の3代目(82)は「70年以上前に、岐阜を訪れた名古屋の豆腐職人が、豆腐店などに作り方を教えたのが始まりと聞いている」。とのこと。
名古屋が出てきてしまった。
調べると、名古屋市内にもからし豆腐を扱う店があった。「春先の限定品です」と東区の豆腐総菜店「くすむら」。
ただ「名古屋では岐阜ほど食べられてないと思います」と控えめ。
発祥も「よく分からない」。
からし豆腐や似た豆腐は京都や北陸地方でも食べられている情報もあります。
←京都のからし豆腐(のりとからしが中にある)
発祥が「岐阜か京都か」という議論もありますが、豆腐製造業者でつくる日本豆腐協会(東京)では、「豆腐は中国伝来。平安時代には京都の公家や僧侶が食べていたようです。江戸時代に庶民に広まっても、祝いの日に食べる高級食材でした。からし豆腐とは直接関係あるか分かりませんが、京都から広がったのかもしれませんね」とのこと。
ルーツは謎でもおいしいものはおいしい。作り方は一般的な木綿豆腐に似ているが、固まる前の材料を大きな型でなく、からし豆腐専用の筒状の型に流し込む。あらかじめ型に置いた布の上に半分だけ材料を流し、からしを載せた後、もう半分。重しをしっかり掛けると、膨らんだ布が丸みを形作る。岐阜市内の豆腐店でも手間がかかるため、扱わない店も多いらしい。